甲状腺癌の放射線療法

  甲状腺癌で言うところの放射線療法は、通常の放射線療法を指しますが、放射性ヨードという治療法もあります。

 放射線療法というのは、放射線を照射してガンを抑制・攻撃し、消失や再発予防を目的とした治療法です。

 その治療効果のほどですが、手術療法・化学療法と肩を並べて放射線療法といわれるぐらいですから、ひとつの治療法としての地位は確立されているのです。


  放射線療法の特徴は、局所療法であるということです。

 甲状腺癌に放射線療法を行う場合は、検査によって悪性腫瘍が存在する正確な場所を割り出し、正常な細胞を傷つけることなく、悪性腫瘍のみを攻撃できます。

 一方で、抗がん剤を用いた化学療法は全身療法と言われています。

 どういうことか言うと、抗がん剤は正常な細胞もろとも、悪性腫瘍を攻撃してしまうのです。

 効果のほどは高いのですが、こういったことから深刻な副作用があるのが抗がん剤による化学療法で、放射線療法との違いはここにあります。


  放射線療法にも吐き気や嘔吐と言った副作用はありますが、化学療法と比較するとそれほど深刻な副作用ではないと言っても過言ではないでしょう。

 勿論、体調不良にはなりますし、嫌な思いにはなるでしょうが、脱毛や激しい嘔吐を伴う抗がん剤よりは患者様に優しい治療法といえます。

 また、放射線療法のもうひとつの特徴に、悪性腫瘍のある部分を温存できることが上げられます。

 甲状腺癌の場合は、甲状腺癌に放射線療法を行うことにより、病状にもよりますが、手術による甲状腺摘出を回避して、温存することも可能になるのです。

 病状にもよりますから必ず甲状腺を温存できるわけではないのですが、術後のQOL(生活の質)を向上させることになるので、やはり視野からはずしたくはない治療法です。


  もうひとつは、放射線療法とは多少は毛色の違う治療法ですが、放射性ヨード療法という治療法です。

 これは甲状腺癌に特有の治療法で、私の知る限り他の代表的な癌には見当たらない治療法です。

 思い当たるのはバセドウ病という甲状腺の病気ぐらいで、こちらも同様に放射性ヨード療法が有効な治療効果を挙げています。


 放射性ヨード治療というのは、ヨード(ヨウ素)という甲状腺がホルモン分泌を行うために必要な物質のことです。

 通常、我々は海藻類や魚介類からヨードを摂取していますが、放射性ヨード療法は体外から(あるいは薬を服用して)甲状腺にヨードを与えます。

 その結果、甲状腺がホルモンを分泌し、内側から悪性腫瘍を抑制・破壊することが出来るのです。

 俗に放射性ヨード治療は白血病を誘発する、あるいは甲状腺癌を誘発すると言われています。

 しかし、この俗説は事実無根であることは医学的な見地から立証されています。

 甲状腺癌の原因のひとつにヨードの過剰摂取が上げられますが、医師によって調整されているため甲状腺癌を誘発あるいは促進するということはありません。

 気になる副作用ですが、甲状腺機能低下症の可能性が挙げられます。

 甲状腺機能低下症になった場合、甲状腺ホルモンの分泌が上手くいかなくなるため、生涯にわたって内服薬を飲むことになるでしょう。

 しかし、この内服薬そのものに副作用はなく、薬も安価なものなので、それほど深刻に悩むものではないでしょう。

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